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【vol.37】辻和之先生の健康コーナー|糖尿病について 《その3》


今回は、糖尿病の症状、糖尿病の診断についてお話ししましょう。


【糖尿病の症状】
 糖尿病の症状は、図1のように現れにくく、初期のうちは全く無症状で、高血糖自体による症状はかなり高血糖にならないと出現しません。かなりの高血糖になると、利尿作用が亢進し多尿になり、その結果喉が渇き水を欲しがります。インシュリン作用の低下で細胞内にブドウ糖が入りにくくなるので、食欲が亢進したり、体が怠くなります。インシュリンは、血糖を下げる他に脂肪合成作用を有しますので、膵β細胞(インシュリン工場)からのインシュリンの分泌が低下すると痩せてきます。

 合併症に基づく症状(表1)としては、㈰感染症に基づく症状として、歯周病、傷が治りにくい、㈪血管合併症に基づく症状としては、網膜症による視力障害、腎症による蛋白尿や浮腫、壊疽があり、㈫神経障害に基づく症状としては、手先足先などの末梢側のシビレ感、神経痛、自律神経障害として、起立性低血圧、勃起障害、発汗異常、排尿困難などがあります。

【糖尿病の診断】(図2)
 糖尿病の診断としては、空腹時血糖が126/dl以上であるか、75gブドウ糖負荷試験の2時間後の血糖が200/dl以上であるか、食後の随時血糖が200/dl以上であると糖尿病と診断されます。2010年に糖尿病基準が10年ぶりに見直しになります。新しい基準としては、今までの基準の他にHbA1c(後ほど詳述します)が6・1%以上という状態でも糖尿病と診断されるようになります。

 正常型と糖尿病型の中間に位置する病態を境界型といいます。実は、この境界型から既に動脈硬化のハイリスク(危険因子)になります。山形県舟形町で行われた舟形研究によれば(図3)、境界型が心筋梗塞で死亡する危険度は、正常者に比べ2・3倍あり、糖尿病では3・5倍になります。境界型は、糖尿病ではないからといって安心していられないのです。境界型から肥満があれば、食事療法と運動療法をしっかり行い、体重を減らす努力が必要になります。勿論境界型は、糖尿病の予備軍ですので、糖尿病にならないように、過食と運動不足、体重増にならないように対応する必要があります。


プロフィール

医療法人和漢全人会花月クリニック
日本東洋医学会専門医
医学博士 辻 和之

昭和26年 北海道江差町に生まれる
昭和50年 千葉大学薬学部卒業
昭和57年 旭川医科大学卒業
平成 4年 医学博士取得
平成10年 新十津川で医療法人和漢全人会花月クリニック開設
日本東洋医学会 専門医
日本糖尿病学会 専門医
日本内科学会  認定医
日本内視鏡学会 認定医

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