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Vol.086 06月 「血圧」と「コレステロール」の正常値


 夏本番までもう少し。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

 今回も引き続き、作家の五木寛之さんと医学博士の帯津良一先生による健康対談をご紹介したいと思います。

あなたの血圧は?

 あなたは自分の血圧を知っていますか?

 病院での検査ばかりでなく、家庭用の血圧測定器もずいぶんと普及している今では、ほとんどの人が簡単に自分の血圧を知ることが出来ます。

 ところでこの血圧の値、正常値はどのくらいかご存知でしょうか?

 「収縮血圧(高い方)は130mmHg未満、拡張期血圧(低い方)は85mmHg未満が血圧の正常値」(日本高血圧学界「高血圧ガイドライン」)

 いかがでしょう?「えっ!ひっかかってる!!」という方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

 こうした「血圧の正常値」という考え方に五木さんは
「歳をとってくると血管が硬くなる。すると毛細血管までちゃんと酸素を送り込むためには、ある程度ポンプが強く圧力をかけなくてはいけない。ということは20代よりも70代の方が、血圧が高めでも当然なのでは?」と疑問を呈しています。

 この質問に対して帯津先生は
「時間や季節、体質などによって、血圧の標準値は違って当然。数値に捉われず、自分に合った養生法で血流を良くすることが大切です。」と答えています。

 帯津先生の主催している気功塾に通うIさんの血圧は、上が200で下が100を超えるという、標準値から見るとあきらかな高血圧。それでも降圧剤はいっさい服用せず、漢方と気功をメインとした療法だけでとても元気な日常生活を送っていると言います。

 「血圧」というものを必要に応じて身体が調節しているのであれば、降圧剤はむやみに服用せず、体質や生活習慣などを見直しながら自分に合った血流改善法を見つけてみる、ということがたいせつなようです。

コレステロールの正常値

 血圧と同じく数値によって正常値を知ることが出来る「コレステロール」。このコレステロールの値についても、五木さんは次のような質問をしています。

 「3年前までは『コレステロールを下げろ』と言っていたのに最近では『コレステロールはやっぱり必要だ』という考え方も聞かれるようになった。善玉と悪玉という括りも危ういものになっているらしい。いったい本当のところはどうなんでしょうか?」

 五木さんからの質問に、帯津先生は
「コレステロールも必要だから存在しています。要は度の問題です。先ずはライフスタイルの見直しから。そして数値を気にし過ぎるとストレスになってしまうので、あまりこだわり過ぎないほうがいいですね。」
と答えています。

 帯津先生自身も以前はコレステロール値が高かったそうですが、気功を長年やっているうちに正常値になってしまったという経験をお持ちです。

 身体に不要なものは本来存在しない、という帯津先生の基本的な考え方は、自然の一部としての、人間の在り方そのものを教えてくれているように思います。

健康診断は毎年受けたほうがよい?

 予防医学のたいせつさが認識されるにつれて、人間ドックなどの健康診断がより重要視されるようになってきました。
昨今のこうした状況に対し「それにしても毎年受ける必要があるのだろうか?」というのが五木さんからの質問です。

 「免疫革命」などの著書で知られる免疫学者の安保徹先生は、ガンにならないための心がけの一つとして「ガン検診は受けない」ことを挙げています。これは「疑いがあった場合のストレスは相当なものだから」という理由から。ストレスが免疫力を低下させる大きな原因であることがわかります。

 また安保先生は「健康診断を受ける前に、自己検診をしてみよう」ということを提唱し、次の4つの項目をチェックすることを薦めています。
1 顔色が悪くないか
2 疲れやすくないか
3 食欲はあるか
4 よく眠れているか

 こうした症状があったら、次の4つの観点から生活を見直してみましょう。
1 働き過ぎていないか
2 悩み事が多くないか
3 特定の薬を飲み続けていないか
4 暴飲暴食が続いていないか

 いかがでしたか?もし当てはまるようでしたら、生活を見直した状態で10日間ほど様子を見て、それでも回復しなければ初めて検査を受けてみる、というくらいの心構えで充分、というのが安保先生の考え方です。

 「レントゲンは被爆と同じですから、そう気軽に撮ってよいものではありません。それに健康診断の結果は万全ではない。見落としもあればミスもあるわけです。検査の数値をあてにするよりも、日頃の細かい体調変化を自覚すること。そしてその少しの変化に気付く感性を磨いておくことがとてもたいせつです。」
と帯津先生も仰っているように、検査の数値に一喜一憂することなく先ずはライフスタイルの見直しをすることから始めてみましょう。

 ふだんの生活習慣と心の持ち方が、あなた自身となっているのですから。

参考文献 五木寛之 帯津良一 著 「健康問答」(平凡社)

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