head_id

Vol.085 05月 理想的な睡眠時間とは?


 新緑がきれいな季節となりました。うららかな春の日差しは本当に気持ちの良いものですよね。

 今回も引き続き、作家の五木寛之さんと医学博士の帯津良一先生による健康対談をご紹介したいと思います。

きれい好きも度を過ぎると・・・

 さていきなりですが質問です。

 「あなたはトイレの後で手を洗いますか?」

 「エッ?手を洗わない人がいるの?」と思ったあなた、もしかしたら「きれい好きの文化」にすっかり慣れてしまっているのかもしれません。

 五木寛之さんは、手洗い・うがいが盛んに推奨されている昨今の状況に違和感を覚え、帯津良一先生に「抗菌・防菌対策」について、その効果のほどを質問しています。この質問に帯津先生は「あまり細菌を嫌い過ぎないほうがいいですよね。」と「過度のきれい好き」に対して警鐘を鳴らしています。

 寄生虫博士としても知られる藤田紘一郎先生によると、私たちは身体に生息しているたくさんの微生物によって守られているそうです。皮膚にも皮膚常在菌がいていつも守ってくれている。ところが私たちは昨今こうした微生物群を「抗菌・防菌グッズ」などで根こそぎ追い出してしまっているんですね。花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患が文明の近代化と共に増加している背景には、こうした「きれい好き文化」の影響があるのではないでしょうか?

 藤田先生が毎年訪れるインドネシアのカリマンタン島では、糞便が流れているようなけっしてキレイとは言えない川でもたくさんの子供達が遊んでいるそうです。こうした生活環境ですから、消臭剤や殺菌剤などは彼らの生活には見当たりませんが、アレルギー性疾患で悩んでいる子は一人もいないと言います。

 「うがいや手洗いを忘れていても問題ありません。やたらに抗菌、防菌というほうが不自然でしょう。」という帯津先生の答え、説得力がありますよね。

理想的な睡眠時間とは?

 五木さんから帯津先生に「睡眠は1日に8時間とらなければいけないのでしょうか?」という質問がありました。

 五木さんの睡眠時間は6時間程度で、朝の6時か7時に寝て昼の1時過ぎに起きる、という生活をもう40年以上続けていると言います。睡眠時間は短めで、どちらかというと朝夜逆転に近い生活ですが、本人はいたって健康とのこと。この質問を受けた帯津先生も毎日の睡眠時間は5~6時間といいますから、お二人の生活リズムからは「8時間睡眠」という理想像は出てきません。
 帯津先生は「体質や生活習慣、季節などによっても理想の睡眠時間は人それぞれ違って当然だと思う。」と仰っています。身体をよく動かす人とあまり動かさない人、また体調が良い時とあまり優れない時とでは「眠り」に対する身体の欲求度がまったく違います。日照時間が長い夏と短い冬でも変わってきますよね。

 えっ?いつでも眠い人ですか?そういう人は、とりあえず飽きるまで寝るのもいいんじゃないでしょうかねぇ。(笑)

 大切なのは「身体が欲求することに素直になること」。必要なだけ眠ったら、きっと身体は動き出したくなると思いますよ。

風邪を引いたら熱は下げるべきか?

 以前このコーナーでご紹介した「風邪の効用」というお話。皆さん覚えていらっしゃいますか?

 整体協会創始者である野口春哉先生は、毎日たくさんの患者さんの身体を触ってきた経験から「風邪を引いた後では、万病の元となる身体の偏り疲労が消えている」ということを発見しました。そして「風邪を引くことは一種の治療行為である」という風邪の効用を説き、薬などで無理に症状をやわらげてしまうことの弊害を訴えました。

 五木さんはこうした野口先生に近い考えをお持ちですが、ある時小児科の先生から「解熱剤を出すのは、お母さんがうるさいから」という話を聞き、熱を無理に下げることがいいのかどうか、という質問を帯津先生に投げかけています。

 帯津先生は自らが熱を出した時の経験を振り返り「西洋医学の解熱剤ですぐに熱が下がった場合と、葛根湯などでゆっくりと下がった場合とでは後の気分がまったく違った」と述べています。時間をかけてゆっくりと熱が下がった方が、明らかに気分が良いそうです。「出来れば何も摂らずに、ただじっと寝ていたほうが良いのかも」とも仰っています。

 どのタイミングで、どの程度の熱を出し、どのくらいの時間持続させるか、ということは身体の内部を知り尽くしている身体自身がいちばん良くわかっていることだと思います。自分自身の治癒力をもっと信頼して、ゆったりとした気持ちで回復を委ねることが、何よりの健康法ではないでしょうか。

参考文献 五木寛之 帯津良一 著 「健康問答」(平凡社)

right_toppage

right_01健康対談ラジオ番組月刊連載

right_02 right_news right_02-2 right_03 right_04 right_06 right_05 right_07 right_07

bnr_npure

bnr_kenkotime