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Vol.053 09月 風邪をまっとうする5つのコツ


辛い症状が伴うため、やっかい者扱いされがちな「風邪」ですが、実は上手に風邪をひくことで、身体は健康になっていくものなのです。

前回に引き続き、今回も「風邪の効用」についてお話をしたいと思います。

風邪をまっとうする5つのコツ

「風邪の効用」という本を著し、上手に風邪をひくことが健康につながる、という理論を唱えている整体協会の野口春哉先生は「風邪をまっとうするコツ」について次のようにお話されています。

1、 偏り疲労を整えようとするのが風邪なので、身体を弛めることが大切
2、 身体は冷やさないこと
3、 身体を温めること(温めた後は冷やさないこと)
4、 平温以下の時期を安静に。平温に戻ったらあまり用心しないこと
5、 水分を多めに摂ること

 野口先生は、日々の整体という治療行為を通じてたくさんの患者さんの身体に触れてきた経験から「風邪は身体の偏りを整えようとする自然治癒行為のひとつである」という考えをもつようになったそうです。身体には偏って疲労している部分があり、その箇所は硬くなっているのですが、風邪をひいた後はこの硬さがほぐれている場合が多い、と言います。

 風邪をひいてしまったら「身体の偏り疲労がとれているんだな」と思って、気楽に養生することが、その後の健康にもつながるんですね。そのためにも、1のように「身体を弛める」ことが大切だと思います。

身体も心も弛める

 痛いところを抑えられた時に、力を入れなければさほど痛くないものを、つい力が入ってしまいよけい痛く感じてしまった、という経験はないでしょうか。

じつは風邪についても同様で「風邪と闘う」という硬い気持ちでいると、なかなか上手に風邪が経過してくれません。
心と身体はひとつですから、身体を弛めるためには「心も弛める」必要があるのですが、風邪をひくと皆さんけっこう構えてしまうんですよね。

「病は気から」というように、風邪をひく前にはある程度気を張っておくことで病気を寄せ付けないことは可能です。でも、いったん風邪をひいてしまったら覚悟を決めて(?)ゆったりした気持ちで自然治癒力にお任せする心構えをもちたいものです。風邪はあなたを健康にするための「自然の名医による治癒行為」なのですから。

風邪の経過を辿ってみる

 風邪の症状にはいろいろとありますが、症状として出てきた箇所に関係するところが「偏り疲労」を起こしている、と考えるとわかり易いかもしれません。「熱が出たから、熱を下げよう」とか「関節が痛むから抑えよう」という考え方は目の前の変化、症状に心を捉えられている(心が偏っている)状態です。熱がある、食欲がない、身体がダルイ、鼻水や咳が出る・・・などの症状を、薬ですぐに対処してしまうのではなく、根本的な問題をじっくりと観察する、つまり「こういう症状が出ているということは、身体(心)のどの部分が偏り疲労を起こしているんだろう?」と考えるくらいの余裕があると、心に余裕が出来て身体も弛み始めます。

野口先生はこういう心構えを「積極的かつ友好的な心構え」と表現されています。

 農作物も果物も、すぐに実をつけるわけではありません。一定の期間が必要です。自然界に存在するものは全てこうした「一定の時間の経過」によって、何らかの変化を起こすように出来ています。風邪も同じことで、経過には一定の時間を必要とします。それであればなおさら「闘って治す」よりも「経過を観て、身体のバランスを整えてくれていることに感謝する」くらいのゆったりした気持ちで、風邪の経過を楽しみたいものです。

参考文献  野口 春哉 著 「風邪の効用」(ちくま文庫)

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