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Vol.052 08月 風邪を上手にひいて健康に役立てる


暑い毎日が続いていますが、体調はいかがですか?

「夏風邪はなかなか治らない」という言葉をよく聞きます。暑いこの季節ですが、意外にも「夏風邪」をひく方が結構多いんですね。

やっかいもの扱いされる「風邪」ですが、実は上手に風邪をひくことで、身体は健康になっていくものなのです。

今回から「風邪の効用」についてお話をしたいと思います。

風邪をひくと健康になる?

 「風邪はなるべくひきたくないな。」と思っている方、多いですよね。発熱や頭痛、咳、鼻水など、辛い症状の伴う風邪は、やっかいもの扱いをされてしまいがちです。

 ところが、この「風邪」をひくことで、身体は健康を取り戻している、という説を提唱している方がいます。整体協会の野口春哉先生は、整体という職業柄たくさんの患者さんの身体に直接触れる機会があり、病気の原因の大部分は「身体の歪み(偏り)」によって起こる事。そして「風邪」をひくと、その「歪み(偏り)」が整っていることに気付きました。

多くの患者さんに見られるそうした経験から「風邪をひく、ということは、それ自体が一種の治療行為なのではないか?」と思うようになったのです。

風邪のタイプがいろいろある理由

 人間それぞれ仕事も違えば環境も違います。食べ物や体質、遺伝といった要素もあります。こうした各人の置かれている環境などが、その人独自の身体の歪み(偏り)に大きく関係しています。ということは歪み(偏り)の箇所も人によって違いますから、正常に戻そうとする働きも違ってきて当たり前、ということになりますね。頭が重かったり、鼻水が出たり、咳がなかなか止まらなかったり、という症状はすべてその器官に関係した箇所の歪み(偏り)を是正しようとしている治療行為ということが出来るかと思います。

 子供の寝相が悪くて布団がまったくかかっていないと、風邪をひかないかと心配になりますが、野口先生は「子供は身体が柔らかいので、寝ているうちに無意識に身体の歪みを調整しているのだ」と仰っています。風邪をひきそうになる前に、身体がバランスを取り戻そうとして寝相が悪くなるのであって、寝相が悪くて布団がかかっていないから風邪をひくわけではない、ということです。心配で両手両足を縛ってしまったら、かえって風邪が悪化してしまった例もあったようですが、風邪をひく過程として偏りを是正するために寝相が悪くなったのであれば、これもまた当たり前のことかもしれません。

上手に風邪をひく

 風邪をひくことが一種の治療行為(自然治癒行為)であれば、風邪は上手にひいて健康に役立てたいものです。

 野口先生は「風邪をまっとうするコツ」を次のようにお話されています。

1、 偏り疲労を整えようとするのが風邪なので、身体を弛めることが大切
2、 身体は冷やさないこと
3、 身体を温めること(温めた後は冷やさないこと)
4、 平温以下の時期を安静に。平温に戻ったらあまり用心しないこと
5、 水分を多めに摂ること

 免疫機能は体温が1度上昇すると30%アップすると言われています。
風邪をひくと熱が上がる場合が多いですが、これは身体が自らを温めて免疫機能をアップさせようとする自然治癒の働きと考えられますから、3の「身体を温めること」というのは、意識的にこうした状況にしてあげる行為だと思います。

また4の「平温以下の時期を安静に。平温に戻ったらあまり用心しないこと」については、江戸時代の健康書「養生訓」にも記されている「治りかけが最も肝心」ということにも通じています。熱は高くなった後で、平熱に戻る前に一旦平熱以下の状態になります。ここが「養生訓」でいう「治りかけ」であり、野口先生が仰る「平温以下の時期」なのでしょう。

 風邪の症状が身体のバランスを取り戻すために必要なことだとしたら、薬で症状を止めてしまうのはバランスが崩れた状態をもそのままにしておくことになってしまいます。「風邪を治す」というよりも「風邪を上手に経過させる」と考える方が、自然の摂理にもあっているように思います。

参考文献  野口 春哉 著 「風邪の効用」(ちくま文庫)

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