Vol.012 04月 「耳」のおはなし
バランス・アンバランス
猫のひげを切ってしまうと、狭いところを上手にくぐり抜けたり高いところをジャンプしたりという猫特有のバランス感覚がダメになってしまいますよね。そんな意味のバランスとはちょっと意味が違ってきますが、人間が平衡感覚を保ってふらつかずにいられることや、どの方向を向いているのか把握できることなどのバランス機能は、今回のテーマ「耳」の大事な役割です。
外耳
外側から見える耳介は、外耳と呼ばれる部分に含まれ、おもに音を集める役割をしています。新聞紙などをじょうごのような形に丸めて耳にあてると小さな音まで良く聴こえますね。耳の形は音を集めるためにもっとも適した形態に進化したものと考えられます。鹿などの草食動物は、自分の身を守るため、左右の耳が別々に動くようになっていますし、土中に住むモグラや、水中のイルカなどにはこの耳介はありません。
中耳
鼓膜を含むこの部分は、鼻ともつながっています。(耳鼻咽喉科というのは、耳、鼻、喉がつながっていて、密接な関係があるからなんですね。)
飛行機で離着陸をする時や、列車がトンネルを通る時などに耳がキーンとしてしばらく良く聞こえないのは、気圧が急激に変化して鼓膜の外と内の圧力に差が出来るためです。気圧の弱い方へ鼓膜が引っ張られて起きる現象ということですね。こんな時は大きく口を開いてあくびの真似をしたり、つばを飲み込んだりすると内外の気圧差が解消されます。
内耳
この部分にはリンパ液が満たされていて、頭を傾けるとリンパ液が動き、頭がどの方向を向いていて、どの程度のスピードで歩いているのかが判断できるようになっています。平衡感覚を保っていられるのはこの器官のおかげなんですね。
喋るより聴くこと
外耳、中耳、内耳の3つの部分から、耳が成り立っているのがお判りいただけましたでしょうか。
よく「聴き上手が人から好かれるコツだよ。」ということをいわれます。
よく考えてみると、口はひとつしかないのに、耳はふたつあります。人間のからだの作りからいっても、どうやら聴き上手というのが、自然の摂理に叶ったことなんでしょうね。
お互いが相手の言うことに耳を傾ける、ということを意識し出したら、もしかしたらもっと平和な世の中になるのかもしれません。