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Vol.083 03月 作家・五木寛之さんと医学博士・帯津良一先生の「健康観」


 少しずつ暖かい日が増えて、春らしい日が多くなってきました。年度末で環境が変わるという方もいらっしゃるかもしれませんね。

 今回は作家の五木寛之さんと医学博士の帯津良一先生による健康対談をご紹介したいと思います。

五木さんと帯津先生の「健康観」

 「これ一つさえやっていれば、すべて大丈夫、という健康法はない」

 これは、小さい頃からけっして丈夫とはいえなかった作家の五木寛之さんが、様々な健康法を試してきたうえで辿り着いた健康観です。

 遺伝的な要因はもちろんですが、どのような家庭環境で育ってきたか、どんな食生活をしてきたか、運動の習慣はあるか、などたくさんの要因が絡み合って、ひとりの人間となっていることを考えると、確かに「これ一つさえやっていれば・・・」という健康法には、ちょっと無理があるかもしれませんね。

 今回からご紹介する「健康問答」という本では、こうした健康観を持つ五木さんが日頃疑問に思っていることを、医学博士の帯津良一先生に質問して答えていただく、という形式で様々な健康法などについての解説をしています。

 もともと西洋医学の外科医である帯津良一先生が、鍼灸や漢方といった東洋医学やアーユルヴェーダなどの伝統医学、ホメオパシーなどの代替療法などを取り入れた幅広い医療活動に取り組んできた豊富な経験から得たアドバイスは、きっと皆さんの健康観を広げてくれることでしょう。

水はたくさん飲んだ方が良いか?

 さて早速ですが○×クイズです。

「水はたくさん飲んだ方が良いでしょうか?」
 ・・・正解は△です。(○×クイズなのに!)

 水を1日に2リットル以上飲むと良い、という健康法が一時たいへんなブームになりました。ところが最近では「過剰な水の飲み過ぎは水毒となり身体を冷やすから良くない」という考え方も話題にあがるようになりました。では、実際のところはどうなのだろうか?というのが、五木さんからの質問です。

 この質問に帯津先生は「基本的には、のどが渇いたら水を飲めばいいんですよ」と回答しています。とてもわかりやすいですね。(笑)

 「身体の感性がシャープな状態であれば、身体の声に素直に従うのが最も良い」という帯津先生のアドバイスは、様々な健康情報を頭で理解しようとせず、身体の欲求に従って素直に判断するという、とても大切な真理を教えてくれているように思います。

 また同じ水分に関する質問として「冷たいビールは身体に良くないのでしょうか?」というものもありました。皆さんはどう思われますか?

 五木さんの友人は、冷たいビールを飲まなくなって鼻水が止まり口内炎も治まったといいますから、あまり冷たいものは取り過ぎない方がいいのでしょう。

 帯津先生も「温めの方が身体には良いでしょうね。」と回答していますし、長い漢方の歴史を持つお隣中国でも、ビールを注文するとつい最近まで「冷えたものをお願いします」と言わない限り温めのビールが出てきていました。

 でもやっぱり私たち日本人は、長年の習慣からか冷えた方が美味しく感じてしまいますよね。先ほどの「身体の声に素直に従う」という原則からみても「美味しい!!」と思うことは、素直に行動した方が良いようにも思います。(笑)

 回答の後半では「冷やした方が美味しいと感じるものは、少し常温にさらして冷気をとってから、ゆっくり飲むと良いでしょう。」と帯津先生も妥協してくださっています。(笑)あとは皆さんの判断にお任せしますね。

肉食と菜食

 水泳の世界記録を複数出したマレー・ローズさんは、菜食主義(動物性の食べ物をいっさい摂らない)者として知られています。また登頂前数週間は菜食主義に徹するという著名な登山家もいます。どちらも相当な体力を必要とすることでありながら、動物性の食べ物をいっさい摂りません。このことからも菜食が肉食よりも体力的に劣るわけではない、ということがわかります。

 私たちの歯の構成を見ても、動物性の食べ物を噛み切るための犬歯は全体の約10%、4本しかありませんから肉や魚、卵など動物性食品の摂取は全体の1割でいいことになりますね。(残りの歯は野菜や果物、穀類など植物系の食べ物を噛むつくりになっています)

 帯津先生はこうした自然の摂理を考えたうえで「本当に美味しい!!と思って食べる喜びは、自然治癒力を向上させてくれる」と仰っています。(ちなみに帯津先生の好物はカツ丼です)身体が欲している時は、肉食・菜食にあまりこだわらずに食べたい物を食べる、というのが健康の原則であると同時に、身体の感性がシャープな状態であれば、自然に歯の構成比率に合ったような健康的な食べ方になっているのではないかと思います。

参考文献 五木寛之 帯津良一 著 「健康問答」(平凡社)

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