2008年07月
志茂田景樹先生にご来町頂きました!!
直木賞作家であり、タレントとしてもご活躍されている志茂田景樹先生。 私どもエヌ・ピュアでは、志茂田先生に長年「蜂っ子」をご愛飲頂いているご縁から、志茂田先生のライフワークでもある「読み聞かせ」を、北海道内の学校などで定期的に開催しています。(エヌ・ピュアは北海道教育委員会から、家庭教育サポート企業の認定を受けています)
今年は北海道乙部町、せたな町、厚沢部町の3町で、約600名の皆さんと「読み聞かせ」の感動を共有することが出来ました。
7月6日(日)乙部町PTA連合会研究大会で、ご講演いただきました
乙部町内の小・中学校PTA主催の研究大会では「親と子の心をつなぐ読み聞かせ」というテーマでご講演いただきました。
講演の一部をご紹介します。
僕は毎朝ウォーキングをします。今朝もウォーキングをしていて、橋の上から海へと続く川の流れを見つめていました。きれいな空気と雄大な自然環境。本当に素晴らしい町ですね。こうした景色を見ていると、心が洗われるようです。
昨今、若者が引き起こす物騒な事件が後を絶ちませんが、これはもしかしたら「心が洗われる」という機会がなくなっているからなのかもしれません。心が洗われないと「夢や希望や勇気」といった本来持っているはずのものが表に出て来られないのかもしれない。これは子供や若者の手本となる大人たちが「夢や希望や勇気」を忘れてしまっていることも大きな原因だと思います。
僕が「絵本の読み聞かせ」を始めたのは、今から10年ほど前のことです。イベントや講演会などを行なうと、僕の周りにはたくさんの子供たちが集まって来ます。髪の毛がカラフルで面白い格好をしているオジサンだな、っていう感じで。(笑)そのうち「せっかく集まって来てくれるんだから、絵本でも読んであげたら喜ぶかな」と思って、読み聞かせをしてみたんですね。そうしたら、予想以上に喜んでくれて、一緒にいた大人たちも泣いているんです。自分自身も気付けば、涙が頬を伝っていました。「子供たちも大人も喜んでくれる。僕自身の心も洗われるように楽しい。こんなに素敵なことはないじゃないか!」こうして「よい子に読み聞かせ隊」がスタートすることになりました。
そんなある日一通の手紙が届きました。5歳の娘さんがいらっしゃるお母さんからの手紙でした。「志茂田先生の絵本を読み聞かせていたら、白鳥のお母さんが死んでしまう場面で、娘が大きな声でワンワン泣き出してしまいました。でも私はそれを見てホッとしました。他人の痛みを理解してあげられるような人間に育ってほしいと思っていたからです。」
娘さんは、ふだんからあまり感情表現がなく、どこか冷たい感じがする、と幼稚園の先生にも言われていたらしいのです。その娘さんがワンワン泣き出した。お母さんも最初は驚いたでしょうね。でも流れる涙を見て、心の扉、感性の扉が開いたことを実感したそうです。絵本の読み聞かせには凄い力があるんですね。豊かな感受性は「やっていいこと」と「やってはいけないこと」の判断をする場面で、想像力となって働きます。
僕の絵本には悲しい物語もたくさんありますが、それは「生命」というかけがえのないものが関わっているからです。「生命には限りがあるんだな」「生命は尊いものなんだ」そして「生きるということは本当に素晴らしいことなんだ」ということを、感性として捉えることが出来たら、物騒な事件にはきっとつながらないだろうと思います。豊かな感性によって育まれた想像力は、正しい判断をする時の指標ともなるからです。
子供たちの能力・感性にはそれぞれ個性があります。その個性を豊かに大きく伸ばしてあげることが、大人の役目ではないでしょうか。
僕は小さい頃絵を描くのが大好きでした。時間があれば絵を描いていました。ところが小学校3年生の時、ウサギを描いていた場面でのことです。僕はいつものように、感じたままウサギを描いていました。小屋が狭くて可愛そうだったから首をキリンみたいに長くしてあげました。(笑)寒そうだったから、白ではなく温かそうな黄色の体にしてあげました。(笑)そうしたら、それを見ていた先生が「何をふざけて描いているの!きちんと描きなさい!!」と大きな声で注意したんです。僕はもの凄いショックを受けました。だって今まで感じたまま描くのがとっても楽しかったから。その日から、僕は絵を描くのが大嫌いになってしまいました。ずーっと心の奥底に封印してきたんです。でも絵本を書くようになって、その時の絵心がフツフツと沸いてきました。今はまた絵を描き始めています。それにしても長い封印期間でした。(笑)皆さん、子供さんの感性は大切に育ててあげてくださいね。小さい頃の出来事は、心の素地になるのですから。
僕自身、小さい頃はよく母に絵本を読んで貰っていました。感受性が豊かになり過ぎたのか、かなり個性的な方だと言われますが(笑)、きっと絵本が素地になっているのでしょうね。お陰でとっても幸せな毎日を送っています。
先ほども申し上げたように、豊かな感性によって育まれた想像力は、物騒な事件を引き起こす前に正しい判断力となってブレーキをかけてくれます。子供の頃に育まれる素地は、それほど大切なものなんですよ。
感受性を豊かにしてあげる方法はきっとたくさんあるのだと思いますが、僕は「絵本の読み聞かせ」しか知りません。
読んでもらう方も、読んであげる方も、お互いの感性を豊かにすることが出来る「読み聞かせ」。ぜひご家庭でも、どんどん行なっていただきたいと思います。
本日はご清聴、どうもありがとうございました。
志茂田先生には、2冊の絵本の読み聞かせも行なっていただきました。親子で一緒に感受性を豊かに育むことの出来た素敵な時間となりました。
フルートとピアノによるミニコンサートも行われました
「読み聞かせ隊」のメンバーとして、志茂田先生と一緒にご来場くださったフルート奏者の澤田由香さんと、地元・乙部小学校、乙部中学校のお二人の先生方によるミニコンサートも開催されました。
曲目は「ムーンリバー」「美女と野獣」「ジュピター」の3曲。素晴らしい音色と、馴染みのある楽曲に、参加された皆さんも心身共にリラックスして楽しんでいただけたようです。
お忙しい中お越しいただきました志茂田景樹先生、奥様、フルート奏者の澤田由香さんに、改めて感謝申し上げます。
どうもありがとうございました。
7月7日(月)~8日(火) 北海道桧山管内の3つの小学校で「読み聞かせ」をしていただきました
感受性を豊かにしてくれる「読み聞かせ」。今回の催しをきっかけに、ぜひご家庭でも「読み聞かせ」の世界を広げてほしいと思います。
講演の合間に乙部町の隣町である江差町を訪れた志茂田先生。北海道で最も古い歴史を持つ同町の歴史的建造物を、たいへん興味深く視察されていました。
ご案内を頂きました江差町の皆様、どうもありがとうございました。
有形民族文化財のニシン御殿「横山家」。160年前に建てられた貴重な家屋を、8代目当主の横山さんにご案内していただきました。ニシン漁全盛の頃は「江差の5月は江戸にもない」と言われたほど賑やかだったそうです。
江差の街並みを見渡すことの出来る坂道で。天候にも恵まれ、心ゆくまで歴史探訪を楽しんでいただくことが出来ました。