【vol.88】こころとからだの健幸タイム|ゲスト 高島 亮さん 前編
2024年春に出版された高島亮さんと鳴海周平の共著『運のミカタ』(ワニ・プラス刊)には、運と仲良くなれる17の習慣が紹介されています。
今号から数回にわたり、同著の内容から「こころとからだの健幸対談・特別編」としてお届けします。
鳴海周平(以下、鳴海)
あらためまして、今日は『運のミカタ』について、さらに踏み込んだ対談ということでよろしくお願いします。
高島亮さん(以下、高島)
もう、本のなかですべて出し尽くしたので、とくにありませんけどね(笑)
鳴海 じつは、僕もそうなんですが(笑)引き出しの多い亮さんだったら、たぶんなにかかくしだまがあるんじゃないかと思って、今回の対談企画を立てました。
高島 それは、はやくも頓挫しそうな企画ですが(笑)そもそも本書を書くきっかけは、僕たちがいつも話している「運に良し悪しはない」ということがベースになっていますよね。だから、いわゆる運を良くする開運本ではなく、運と仲良くする方法を紹介しています。「生きる」ということは、いろいろな人や物ごとと関わりながら「運ばれていく」ことで、その運ばれ方を「運」と呼ぶことにしました。
鳴海 その「運ばれ方」を、どう見るか、どうとらえるか、つまり「運の見方」ですね。そして、運ばれているなかで起こるさまざまなことに対して不平や不満を言うのではく、認めて受け入れることで運ばれ方の「味方」になる。すると、運も味方になってくれる。「見方」と「味方」をかけて『運のミカタ』。亮さんのダジャレセンスが光っています。
高島 ダジャレと被りものが、僕の仕事なので。
鳴海 講演会のとき、いちばん前に座っていたお客様から「亮さん、その被りものって、本当に仕事なんですか?」と訊かれて、あたりまえです、仕事じゃなきゃやってられません!」って、本気で答えていましたね(笑)
高島 こういう運ばれ方もありますよ〜、ということを、身を持って示していると思ってもらっても間違いではありません(笑)
ああ、こんな運ばれ方もあるんだなぁ、新しい運の見方が見っかった!という感じで。
鳴海 最後のフレーズも、ちゃんとダジャレになっていること、読者の皆様はお気づきでしょうか。気を抜いていると置いていかれるので、一言一句しっかりとお読みください(笑)
運に良し悪しなし
鳴海 「運に良し悪しはない」というのは、起こった出来事を、あとからどう捉えるかによっても見方がまったく変わってしまうということでもありますよね。亮さんも、いまのお仕事になるまでに、さまざまな運ばれ方を経験していると伺っています。
高島 大学を卒業してすぐに就職した会社は大手の化学メーカーでした。仕事の内容は主にルート営業で、退屈な仕事ではなかったし、周りの人たちにも恵まれていたのですが、仕事が終わって独身寮へ戻ると、どっと疲れが押し寄せてくる毎日でした。自分にとっての「仕事の意義」が見出せないという葛藤もあったかと思います。気がつけば、俗にいう「サザエさん症候群」になっていたようで、日曜日の夕方になると辛くてしょうがない。
そういった日々のなかで出会ったのが『無私の愛よ永遠に』という1冊の本でした。瓜谷侑広さんという、精神世界を専門とする出版社の社長さんで、「万人が自ら悟りを開き、宇宙と一体化し、不動の信念の下、宇宙エネルギーを縦横に駆使する精神世界の時代が、これまでの宗教に代ってくるのは間違いのないところである」という一文を読んで、まるで雷に打たれたような衝撃を受けたんです。それで、そのままの勢いですぐに履歴書と手紙を送ったら、即入社が決まって転職しました(笑)
鳴海 なんと、思い切りがよい!(笑)人生の転機というのは、そのような感じで訪れるのでしょうね。大手メーカーで働いていたときの、どうしようもない辛さは、その最中にあっては「運が悪い」状況とも捉えられますが、そうした日々を過ごしていたおかげで本当にやりたかったことを見つけるアンテナが研ぎ澄まされていったと思うと、その状況は「運が良かった」ということにもなります。
高島 社員数五千人の一部上場企業から、社員十数人の精神世界専門の出版社への転職ということで、家族にも友人にも大反対されましたが、僕のなかでは、やっとやりたいことが見っかった!という気持ちでした。家族や友人から見たら「運が悪い」状況に映ったかもしれませんが、その出版社で開催していた講演会を担当させてもらうなかで出会ったのが、僕の人生に大きな影響を与えてくれた小林正観さんです。『運のミカタ』のベースにもなっている
事実と意味は別
事実とえ方は別
という考え方も、正観さんから教えてもらったことが大きいですね。
おなじ「晴れ」という天気でも、気持ちがいいと感じる人もいれば、水不足の地域では都合が良くないかもしれない。逆に、ザーザー振りの「雨」を、恵みの雨と感じる人もいれば、長雨に見舞われている地域では、もう勘弁してほしいと思うかもしれません。
事実は「晴れている」「雨が降っている」ということで、プラスもマイナスもありませんが、置かれている環境や捉え方によってプラスにもマイナス
にもなるということですね。
鳴海 起こった出来事(事実)に、どんな意味を持たせるか、どんなふうに捉えるかは、その人次第。つまり、人生の「運」ばれ方に、良し悪しはないということになりますか。
「良かった」という言霊
鳴海 その「良し悪しはない」運というものを、肯定的に捉えることが、運の味方になることであり、運と仲良くするということでもある、と亮さんは本書のなかで述べていますね。
高島 もともと運には味方も敵もないのですが、肯定的に捉えることは運と自分がおなじ側に立っている、つまり、運と仲良くしている状態です。「運を良くする」のではなく、「運と仲良くする」ことをお伝えしているのには、次の4つの理由があります。
1 そもそも運ばれ方自体には良いも悪いもないから
2 自分の思い通りにならないこともたくさんあるから
3 自分の思い通りにしようとする(運を良くする)よりも、運ばれ方の味方になって「良かった」と思う(運と仲良くする)ほうが簡単で、自分もラクになるから
4 運と仲良くすると、安心と喜びを得られる(感じられる)から
このように自分の見方が味方を生み出すのであれば、運を「良かった」と肯定的に見るほうがいいですよね。そして、思うだけでも、もちろん良いのですが「良かった」と口に出すとより明確になるので、毎日のなかで「良かった」を言うようにすると、さらにウンと、運と仲良くなれるのではないでしょうか。
鳴海 また、さりげなく挟んでいただきありがとうございます(笑)たしかに、古くから「言霊」というように、言葉に出すことで、さらにエネルギーがのる感覚がありますよね。
高島 「良かった」の理由はなんでもいいんです。理由もあと付け、自分付けなので、そのときはわからなくても、とりあえず「良かった」と言っておく。すると、脳は自動的にその理由を探してくれる(辻褄を合わせる)ようにできているといわれています。そうしているうちに、良かったと思える理由を見つけることが上手になって、ますます「良かった」が増えていくでしょう。
『運のミカタ』のなかで周平さんが紹介していた「よかった・ありがとう呼吸法」も、良かったことの理由がわからなくてもいいんでしたよね。
鳴海 はい、亮さんが仰ったように、脳が自動的にその合理的な理由を探してくれるし、息を吸いながら「良かった」、息を吐きながら「ありがとう」と繰り返しているだけで、呼吸をするたびに「良かった」「ありがとう」が繰り返されるという条件反射ができるので、良かったことの理由は、思いつかなくてもいいんです。
誌面スペースの関係で詳しくは紹介できませんが『運のミカタ』のなかで、詳しく紹介しているのでそちらをご参照いただけたらと思います。
高島 まだお持ちじゃない方は、ぜひ買ってください、ということですね(笑)
言霊のはたらきについては、正観さんから、こんなお話を聞いたことがあります。
「幸運の女神は、自分のあとを追いかけて来ます。でも、五戒を破ると追いかけて来れなくなってしまいます。五戒とは、『不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を言わないこと』です。忍者が追っ手を防ぐために、まきびしをまきますね。五戒を破ることは、あれと同じことなのです。だから、幸せになりたければ、まきびしをまかない生き方をすることです」
このお話を聞いたのは、働いていた出版社の瓜谷社長が亡くなって、グループ会社を任されていた頃だったのですが、資金繰りや面倒なことがいくつも重なって、愚痴や弱音をはく日が続いていました。でも、正観さんが言うように、五戒に気をつけるようになってからは少しずつ事態が好転していったんです。もう絶体絶命かと思われた資金繰りは決済直前にお金が振り込みになったり、面倒だと思っていたことも、すてきな人たちとのご縁にどんどんつながっていったりしました。
鳴海 言葉のまきびしをまかなくなって、幸運の女神が追いかけて来てくれたんですね。五戒を守ることが、まきびしをまかない生き方なら、「良かった」という言葉を使うことは、女神が大好きなエネルギーを発しながら生きていることになるのかもしれません。
高島 正観さんは、よく「投げかけたものが返ってくる」ということも言っていました。投げかけたものが返ってくるのであれば、心地よく感じる言葉はたくさん使ったほうがいいということになりますね。「良かった」という言葉には、そんなすてきな言葉のエネルギー=言霊がたくさんのっているのだと思います。
鳴海 講演会などで、亮さんがダジャレを連発しているのは、お客様に喜んでもらいたいうという投げかけで、その喜びが返ってくるから、亮さんはいつも楽しそうなんですね。
高島 ダジャレは仕事でやっているだけです(笑)どうか、誤解のないように。
鳴海 五戒にかけていただきありがとうございます(笑)次号もよろしくお願いします。
プロフィール
高島 亮さん
新潟県生まれ。東京大学卒業後、大手化学メーカー、
出版社勤務を経て、株式会社ぷれし〜どを設立、
代表取締役になる。
小林正観さんの教えを伝える「正観塾」師範代としても活動。
講演会や講座の主催、自らの執筆や講演活動を通じて、
「毎日が楽に楽しく豊かになる」きっかけやヒントを提供している。
著書に『「おまかせ」で今を生きる』(廣済堂出版)などがある。